今回私が紹介したい練習として乳酸閾値を高めるトレーニングの方法です。

走っているとき、速いペースでランニングをする際に足が重くなってくることがありますが、乳酸が溜まっているからというのも一つの原因になります。

乳酸閾値(lactate threshold)とは、運動中に体内で乳酸が蓄積し始める境界点のことを指します。乳酸閾値を超えると、乳酸の蓄積が急速に増加し、筋肉の疲労感や酸痛が現れることがあります。

乳酸閾値は個人やトレーニング状態によって異なるため、一般的な基準値は存在しません。しかし、一般的なガイドラインとして、乳酸閾値は最大酸素摂取量(VO2max)の60〜80%の強度で発生する傾向があります。

乳酸閾値は、スポーツ選手やトレーニング者にとって重要な指標とされています。トレーニングにおいて乳酸閾値を高めることは、持久力やパフォーマンス向上に寄与する可能性があります。

私自身、乳酸閾値を高めるトレーニングとして、坂道を使ったトレーニングを行うことで、乳酸閾値を高める(乳酸が出にくくする)ことができました。

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また乳酸閾値を向上させるためには、有酸素運動やインターバルトレーニングなどのトレーニング方法が一般的に用いられます。また、定期的なトレーニングや適切な栄養摂取、休息の確保も重要です。

乳酸閾値の測定には、エクササイズテストや血液検査が行われることがあります。エクササイズテストでは、運動負荷を段階的に上げながら血中乳酸濃度を測定し、乳酸閾値を特定します。血液検査では、静止状態と運動中の血中乳酸濃度の比較を通じて乳酸閾値を推定することがあります。

乳酸閾値の推定法は、

  1. 乳酸負荷テスト(Lactate Load Test):この方法では、運動者は特定の運動強度でトレッドミルや自転車エルゴメーターで運動します。運動強度を段階的に上げていき、定期的な間隔で血液中の乳酸濃度を測定します。乳酸濃度が急激に上昇する点が乳酸閾値とされます。
  2. インクリメンタルテスト(Incremental Test):この方法では、運動強度を徐々に上げていくテストを行います。通常はトレッドミルや自転車エルゴメーターを使用し、一定の時間や距離ごとに運動強度を上げていきます。定期的な間隔で血液中の乳酸濃度を測定し、乳酸濃度の増加が急激になるポイントが乳酸閾値となります。
  3. 最大持久力テスト(Maximal Endurance Test):この方法では、運動者はできるだけ長い時間、高強度の運動を続けます。通常はトレッドミルや自転車エルゴメーターを使用し、運動強度は個々の能力に応じて設定されます。一定の時間ごとに血液中の乳酸濃度を測定し、乳酸濃度の上昇が著しくなるポイントが乳酸閾値とされます。

いろいろと乳酸閾値の測定法などを説明してきましたが、実際にこれを測定するためには研究するための施設や道具が必要になります。

乳酸閾値を高めるトレーニングとして、ペース走がおすすめです。

そこでアメリカの著名なランニング指導者であるダニエルズ式トレーニングはアメリカの著名なランニング指導者であるジャック・ダニエルズ氏が提唱しているランニング理論です。

この理論ではランニングをEペース、Mペース、Tペース、Iペース、Rペースの5つの強度に分類し、各強度で得られるトレーニング効果を説明しています。

ダニエルズ式に合わせた自分のペースを知るにはこちらの計算機を使ってみてください。

例えば、フルマラソンのタイムが3時間ちょうどの選手の場合はペース走で使えるペースはこのうちEペース、Mペース、Tペースとなりますのでそれぞれのペースと効果について説明します。

E(Easy)ペース走

Eペースは最も基本的なペースでイージー、つまり楽に走れるペースということです。運動強度としては最大心拍数の60〜70%となります。

Eペース走の走行時間は1回あたり最低30分、最高で150分を推奨されています。怪我を避けるため、トレーニング1回あたりの走行距離は週間距離の30%程度に留めたいところです。例えば週に30km走るランナーであれば9km、50km走るランナーであれば15kmといったことです。

Eペース走の効果は基礎的な心肺機能の向上、地足の強化による怪我の防止、毛細血管の発達による酸素の素早い運搬などの効果が見込めます。

基本的に普段のトレーニングはこのEペース走を中心に構成し、その他のMペースやTペース、インターバル走などをポイント練習として週に1、2回挟むとより効果が発揮されます。

M(Marathon)ペース走

Mペースはフルマラソンのレースペースで、例えばフルマラソンを3時間で走る人であれば4:15/kmというペースになります。運動強度としては最大心拍の75〜84%となります。

Mペース走の効果は本番のレースペースに慣れること、そのペースで走ることによって自身をつけることというメンタル的な点です。トレーニング効果としてはEペース走とあまり変わらないとされています。

実際マラソン本番では、メンタルコントロールが非常に重要で、心の持ちようで大きくタイムが変わることもあります。自分はこの距離をこの時間で走った実績があるということを思い起こすことができれば、大きな自身に繋がることでしょう。

T(Threshold)ペース走

Tペースは閾値走、テンポ走などとも呼ばれ、マラソンのレースペースよりも速いが、30分程度なら継続して走ることのできるペースです。おおよその目安としてはマラソンのレースペースより20秒/kmひいたくらいのペースで、運動強度としては最大心拍の88〜92%となります。

Tペース走ではこのペースで20〜30分間走りますが、ペースをあげず、落とさず同じ速度で走ることに特に意識してください。このペースでは疲労の原因となる乳酸の発生するポイント(LT値)を向上させるのに非常に有効なトレーニングですが、ペースが速すぎても、遅すぎても別のトレーニング効果が現れてしまい正しい効果を得ることができなくなってしまうのでペースの維持が非常に重要なのです。

マラソンの後半30kmあたりで失速する30kmの壁というものがありますが、体がLT値に達していて糖の消費量が一気に増えることなどが原因の1つともされています。

マラソン後半に失速しがちなランナーは、ぜひこのTペース走をトレーニングに取り入れることをおすすめします。

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