マラソンなどの長距離選手で悩まされることが多い事として、「貧血」があります。男性の選手と比べて、女性の選手は「月経」という大事な身体の機能もあり、なりやすいかと思います。

長距離選手の指導の中で「痩せれば走れる」という考えから、食事をしっかりと摂取せず、貧血やスポーツ障害などといった症状が現れます。

理想的な食事をしっかりと摂取して、身体を作っていくことが競技を続けていくうえで必要な要素であり、オリンピックで金メダルをとった高橋尚子選手などは、食事は人一倍、食べて走るといったアスリートにとって理想的な形だと考えます。

これから長距離選手の貧血について説明と正しい摂取方法について紹介していきます。

貧血時の身体の状態

長距離選手が持久力トレーニングとして必要なる一つとして、最大酸素摂取量というものがあります。最大酸素摂取量とはマラソンなどの有酸素運動能力を反映し、長時間の最大限下の運動持久力を決める重要な要素です。

 

肺から空気を取り入れることで血液中の二酸化炭素が肺の「肺胞」の中に放出されて、「酸素」になって血液中にとり入れられます。

その酸素を体中に運ぶものがヘモグロビンです。ヘモグロビンが減少することによって細胞が酸欠状態になることで新陳代謝が悪くなって、疲れやすくなったり、めまいがしたりします。

ヘモグロビンを身体の中で作るために必要なものが「鉄」であり、病院などで診断されると鉄欠乏性貧血と呼ばれるものになります。

また硬いアスファルトの上を長時間走ることによって赤血球が破壊され、溶血性貧血などもあります。

簡単にまとめると

長距離選手に必要なヘモグロビンが血液に足りていないということです。

では、どうやって貧血を治すのでしょうか。

貧血を治すための流れ

病院で貧血検査を行います。

そこで血液の診断結果をもらい、注目してみてもらいたいのが、Hb(ヘモグロビン)の数値です。先ほど説明ししましたが、ここで貧血なのかはすぐにわかります。

長距離選手の理想的な数値として

男性アスリート:13.5~17.0
女性アスリート:11.5~15.0 (g/dl)

です。正直、私は13.5でも男性の場合は低いぐらいで15前後あった方が走れると思います。私が見てきたアスリートの中で女性でも常に15以上ある方もいました。

箱根駅伝で区間賞を取った人の血液検査の結果をみると、鉄剤をとっていないのに17以上あった人もいました。

 

次にフェリチンの値に注目してください。フェリチンとは身体に貯蔵してある鉄(貯蔵鉄)量を表します。

長距離選手の理想的な数値として

男性アスリート:21.0~282.2
女性アスリート:5.0~157.0

この値が低くなるにつれて、持力も下がるため、要チェックです。

その他にも大事な身体の状態を知る数値がありますが、後日、紹介したいと思います。

 

治療法

日本陸上競技連盟が2016年に「アスリートの貧血対処7か条」というガイドラインを作成していますので、引用させていただきます。

食事で適切に鉄分を摂取

質・量ともにしっかりとした食事で、1日あたり15~18mgの鉄分を摂れます。普段から鉄分の多い食品を積極的に食べましょう。

鉄分の摂りすぎに注意

鉄分を摂りすぎると、体に害になることがあります。1日あたりの鉄分の耐容上限量は男性50mg、女性40mgです。鉄分サプリメントを摂りすぎると、この量を超えますので、注意しましょう。

定期的な血液検査で状態を確認

年に3~4回は血液検査を受けて、自分のヘモグロビン、鉄、フェリチンの値を知っておきましょう。フェリチンは体に蓄えられた鉄分量を反映するたんぱく質で、鉄欠乏状態で最も早く低下する敏感な指標です。ヘモグロビン値は最後に低下しますので、貧血では体の鉄分量は極度に減っています。

疲れやすい、動けないなどの症状は医師に相談

疲れやすくパフォーマンスが低下する時は、鉄欠乏状態や貧血かもしれません。早めに医師に相談しましょう。

貧血の治療は医師と共に

鉄欠乏性貧血の治療の基本は飲み薬です。医師に処方してもらいます。ヘモグロビン値が正常に回復してからも3ヶ月間は続けましょう。

治療とともに原因を検索

鉄欠乏性貧血には原因が必ずあります。治療を受けるだけではなく、消化器系、婦人科系、腎泌尿器系などの検査を受けましょう。

安易な鉄剤注射は体調悪化の元

鉄剤注射は投与量が多くなりがちで、鉄が肝臓、心臓、膵臓、甲状腺、内分泌臓器や中枢神経などに沈着し、機能障害を起こすことがあります。体調不良とかパフォーマンスが思い通りでない、といった理由で、鉄剤注射を受けることはもってのほかです。鉄剤投与が注射でなければならないのは、貧血が重症かつ緊急の場合や鉄剤の内服ができない場合です。

以上がガイドラインの引用になります。

 

私も高校時代に貧血に陥り、鉄剤注射をした経験があります。即効性があり、効果的でしたが、やはり時間が空くとに貧血になってしまい、食事で管理したほうが間違いなく効果的でした。

鉄欠乏性貧血溶血性貧血のどちらも鉄分の多い食べ物(レバーや赤身の肉、ひじき、ほうれん草 など)をしっかりと食事をとることで改善していきます。

また溶血性貧血にならないためにも、ランニングはできるだけ柔らかい芝生などの上で行うようにしましょう。

すぐに良くなるという訳ではなく、長い目で見てしっかりと貧血にならないための環境づくりをしていきましょう。
貧血対策などで販売されている商品として,以下のものがあります。

 

 

 

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