前回、お話ししました。最大酸素摂取量についてですが、今回はレースでのオーバーペースなくすためにできる簡単な方法についてまとめました。
オーバーペースは私も失敗しました。
マラソンを速いペースで突っ込んでしまって、後半思うように脚が前に出ずに残り20㎞の地獄の長さを経験しました。
そうならないためにもトレーニング強度を知ることによって、エネルギー供給の状況が推測できて、そのペースがオーバーペースかどうかを判断できます。
マラソンで必要なエネルギーは糖質と脂質によって賄われています。
糖質と脂質のエネルギー供給は、トレーニングの強度によって変化します。
トレーニング強度が上がると糖の代謝比率が高くなり、糖が枯渇する時間が早くなります。
極端にペースが速くなると血中乳酸も高くなって身体が動かなくなってしまいます。
目次
トレーニング強度を心拍数で知る
トレーニングでもレースでも、走っているときの強度を手早く把握するのに有効なのが心拍数です。
心拍数は脈拍数から把握することができます。
心拍数は、安静状態の最も低い値である安静時心拍数から、1~2㎞を全力で走るような強度の高い運動をしたときに最も高くなる値である最高心拍数の間で変化します。
安静時心拍数や最高心拍数は、身体のコンディションの違いで個人差があります。
健康状態や若い人ほど心拍数は少なくなります。
そのため、運動強度を推定するためには、安静時心拍数、最高心拍数の両方を知っておく必要があります。
安静時心拍数の測り方
安静時心拍数を測り方は何もせず、安静にしている状態の心拍数です。
測るときはあおむけの状態になって脈拍を測ります。
座ったり、立ったりしたままの状態であると脈拍は高めに出てしまいます。
一般成人の安静時の心拍数は65~75拍/分程度です。
トレーニングを日常的に行っているとこの値は下がってきて、50拍/分以下の人も少なくありません。
運動時の心拍数
運動時の心拍数は、運動停止後の10秒間の脈拍数を測り、そこに6をかけて、+10秒を加えて補正します。
最高心拍数
最高心拍数は一般的に20歳前後の人で200拍/分程度で、その後、年齢とともに低下していきます。
なので、220から自分の年齢を引いた数が最高心拍数の目安になります。
30歳だとしたら190拍が最高心拍数ということになりますね。
運動強度の算定
あくまで最高心拍数は220から年齢を引いた数でしかありません。
なので、安静時心拍数で補正することで割合を算出することができます。
計算式は
という式です。
例で、私が30歳で安静時心拍数が60拍/分で、運動時の心拍数が160だった場合
(運動時心拍数:160-安静時心拍数:60)÷(最高心拍数:190-安静時心拍数:60)×100≒運動強度:77%
ということになります。
まとめ
ここで説明した最高心拍数を測る計算は、あくまで日頃、運動を行っていない人に当てはめた値になります。
皆さんのようなベテランのランナーの方は、「220-(年齢×0.8)」で計算した値がベストです。
さらにランナーは安静時の心拍数が低いので、単純に最高心拍数と年齢の関係だけでは、適正なペースを決めることはできません。
何度も走っているうちに距離に応じた適正な心拍数が分かるようになるので、これをペースの判断材料にしながら、自分に合ったペースを探すことが良いでしょう。